弐代目米八そばである私が、稼業である米八そばの手伝いを始めて間もないころのお話。

 

米八そばにはお客様用のテーブルが10卓あります。

それぞれに便宜上「A席」、「B席」、「C席」・・・と呼び名をつけています。

 

お客様からおそばの注文を取り、厨房で盛りつけた後、カウンター越しのフロアにいる従業員に「A席に持ってって」、「これはF席!」、「こっちはD席ね」なんて指示を出しています

 

結構大きな声で指示している為、ある日なんとなくお客様に失礼な気がしてきたのです。

 

っつーことで、席の呼び方を「Aさん」もしくは「A様」どちらかにしようという事になりました。

 

「さん」よりは「様」の方が偉そうなので、とりあえず「」に決定。

 

そしてお店が通常通りオープン。

 

その日はかなり忙しく、オープンと同時にほぼ満席の状態でした。

 

いつも通りフロアの従業員に指示を出します。

 

「これはE様に」、「こっちはC様」、「B様の注文とってきて」・・・っつー感じです。

 

そんな中、ふとG席をみると、品の良さそうな老夫婦が鎮座ましましておられました。

 

たった今できたおそばはこのG席からの注文です。

 

G・・・」と言いかけて問題に気付きました。

 

G様・・・じい様!やべー!まんが日本昔話か!

 

・・・これは恥ずかしい。

ギリギリで気が付いた自分をほめつつ、僕は「様」を言い換えて指示を出すことにしました。

 

 

「Gさんに持ってって!!」

 

 

・・・言ってから気づきましたが、こっちの方が余計やべーっすね。

 

「じいさんに持ってって!!」

 

しかもマジでおじいさんだし。

 

あの時のお客様、本当に失礼しました。

 

現在は「A」、「B」っつー感じで敬称略で対応しています。

 

 

以上、本当にあった話でした。

 

本日も皆様のご来店を心よりお待ちしております。